ゲームでドキドキしたら運動になる?心拍数と消費カロリーの意外な違い

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ゲームでドキドキ、運動になる?心拍数とカロリーの違い

対戦ゲームの接戦で心臓がドキドキ。終わったあとは、ぐったり。「これだけ疲れたなら、少しは運動になっているのでは?」と思ったことはありませんか。

ゲームで心拍数が上がっても、ウォーキングや自転車運動と同じようにカロリーを消費したとは限りません。緊張で起きるドキドキと、体を動かしたときのエネルギー消費は、分けて考える必要があります。

2026年10月7日にITmedia NEWSが紹介したeスポーツの研究を入り口に、「疲れたのに運動にはならないの?」という疑問と、スマートウォッチの数字を読むときのポイントを整理します。元論文の公開日は2026年7月8日です。[報道][元論文]

目次

ゲームのドキドキだけでは、運動した量は分からない

座って操作するゲームでは、歩行や自転車運動のように大きな筋肉を動かす量が少なく、ドキドキの強さだけでは運動量を判断できません。[2]まず区別したいのは、次の3つです。「疲れた」という感覚も大切ですが、それだけで消費カロリーを判断するのは難しいものです。

気になるもの何を表す?これだけでは分からないこと
心拍数1分間に心臓が拍動する回数どれだけ体を動かし、エネルギーを使ったか
疲労感本人が感じる疲れ運動量や消費カロリーの大きさ
消費カロリー使ったエネルギーの量数値だけで運動の内容や効果のすべては分からない

接戦で勝敗が決まる瞬間と、階段を上って息が弾むとき。どちらもドキドキすることがありますが、体で起きていることまで同じとは限りません。eスポーツの研究でも、心拍数の変化とエネルギー消費の変化が一致しない例が報告されています。[1]

ゲームの接戦でドキドキした男女が、休憩して部屋の中を歩くイラスト
ドキドキした感覚と、体を動かした時間は別々に確認しましょう。イラストは説明用です。

5件の研究をまとめると、エネルギー消費は比較的小さかった

元論文は、競技型ゲーム中のエネルギー消費を調べた既存の5件の研究をまとめた「システマティックレビュー」です。対象には、League of LegendsやCounter-Strikeなどをプレイする人が含まれます。

レビューでは、ゲーム中のエネルギー消費は全体として低く、座っている状態や軽い身体活動に近い範囲と整理されています。ただし、研究ごとにゲーム、参加者、測定方法が異なり、「誰が何のゲームをしても同じ結果になる」という意味ではありません。[1]

心拍数が下がった実験もある

一方、レビューに含まれる2022年の研究では、男性30人がFIFA 20またはCounter-Strike: Global Offensiveを30分間プレイしても、エネルギー消費や酸素摂取量の有意な変化は認められませんでした。心拍数やコルチゾールは、プレイから終了後にかけて低下しています。[2]

つまり、「ゲームは必ず強いストレスを起こす」「心拍数が必ず急上昇する」とは言い切れません。記事の見出しで目立つ結果を、そのまま自分のゲーム時間に当てはめないことも大切です。

「ゲーム中に消費したカロリー」は、全部がゲームの上乗せ分ではない

ここが、数字を読むときに見落としやすいポイントです。私たちは、座って休んでいる間にもエネルギーを使っています。プレイ中の消費量を丸ごと「ゲームで追加消費した分」と数えると、効果を大きく見積もってしまいます。

2024年の研究では、各ゲームの上位10%に入る健康な男性13人を対象に、呼気ガスからエネルギー消費を測定しました。報告された中央値は次のとおりです。[3]

測定した状態1分あたりのエネルギー消費(中央値)
安静時1.28 kcal
競技ゲーム中1.45 kcal
上記の値の差0.17 kcal
特定の参加者・条件で得られた値です。すべての人のゲーム中の消費量を表しません。

仮に、この値が1時間続くとして単純計算すると、ゲーム中は87 kcal、安静時は76.8 kcal、差は約10 kcalです。87 kcalのすべてが、ゲームをしたことで増えた分というわけではありません。

これは、論文の1分あたりの中央値を使った説明用の計算です。「1時間遊べば誰でも約10 kcal増える」と検証された結果でも、各参加者の増加量の中央値でもありません。

スマートウォッチにカロリーが出たら、どこを確認する?

「ゲーム中、腕時計のカロリー表示が増えた」という場合も、まず表示の意味を確認しましょう。今回のレビューは、市販のスマートウォッチがゲーム中に正しく測れるかを検証したものではありません。

①「合計」なのか「活動分」なのかを見る

画面やアプリの説明で、安静時を含む合計値なのか、活動によるカロリーなのかを確かめます。表示名や集計方法は機器によって異なるので、違う項目同士を比べないようにしてください。

②心拍数の測定と、カロリーの推定を分ける

Appleの説明では、Apple Watchは身長、体重、性別、年齢などを消費カロリーの計算に使います。歩行や走行による調整も、カロリー推定の精度向上につながると案内されています。腕時計に表示されるカロリーは、心拍数そのものとは違う情報です。[4][5]

また、健康な若年成人60人が座位・歩行・ランニングなどを行った検証では、Apple Watch 6、Polar Vantage V、Fitbit Senseについて、心拍数とエネルギー消費の精度には違いがありました。エネルギー消費の精度は、3機種とも検証した5つの活動で低いと報告されています。[6]

この検証は過去の機種と特定の活動が対象です。最新機種の性能や、ゲーム中の誤差を示すものではありません。ここから言えるのは、「心拍数を測れたから、カロリーも同じ精度で分かる」とは限らないということです。

③数字が気になったら、設定と記録を確認する

  • 登録した体重や年齢などが現在の情報になっているか
  • メーカーが案内する装着方法になっているか
  • 意図しないワークアウトが記録されていないか
  • 比較している時間帯と、カロリーの項目が同じか

数字が大きかったという理由だけで「ゲームでも十分運動した」と決めず、実際に歩いた時間なども一緒に振り返るのがおすすめです。

ゲームを楽しみながら、体を動かす時間もつくる

ゲーム後の疲れを否定する必要はありません。ただ、「今日はゲームで疲れた」と「今日は体を動かした」は別に振り返ると、生活のバランスを考えやすくなります。

  • 次の対戦を始める前に、いったん席を立つ
  • 飲み物を取りに行くときに、少し部屋の中を歩く
  • ゲームとは別に、散歩や買い物で歩く時間を予定に入れる

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう注意することを勧めています。[7]「1試合終わったら休憩する」など、区切りを決めると実行しやすくなります。休憩を挟むことと、まとまった運動時間を確保することも、別々に考えましょう。

よくある疑問

ゲームではカロリーをまったく消費しない?

消費します。安静時にもエネルギーは使われ、ゲーム中に増えた研究もあります。気をつけたいのは、プレイ中の消費量と、ゲームによる上乗せ分を混同しないことです。

ゲームで痩せられる?

今回の研究からは分かりません。短時間のエネルギー消費の測定を、継続的な体重減少の証拠として扱うことはできません。

ダンスゲームやフィットネスゲームも同じ?

今回の結論をそのまま当てはめることはできません。全身を動かすゲームは、ここで紹介した座って行う競技型ゲームとは条件が違います。ゲームの名前よりも、実際にどのような動きを、どれくらい行ったかを確認してください。

心拍数が上がったら、腕時計の誤計測?

それだけでは判断できません。緊張による本当の心拍数の変化と、測定の誤差は別の話です。今回の研究は、あなたの機器がゲーム中に誤計測することを証明していません。

参考資料

  1. Kotasほか:Energy Expenditure of Esports Athletes During Gameplay: A Systematic Review(2026)
  2. Zimmerほか:Acute Effects of Esports on the Cardiovascular System and Energy Expenditure in Amateur Esports Players(2022)
  3. Nicholsonほか:How Much Energy Do E’Athletes Use during Gameplay?(2024)
  4. Apple:Apple Watchを使った運動量計測の精度を上げる
  5. Apple:Apple Watchのワークアウトとアクティビティの精度を高めるための調整
  6. Wrist-worn devices for the measurement of heart rate and energy expenditure(2022年掲載)
  7. 厚生労働省:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023

情報確認日:2026年10月9日。研究結果は対象者と測定条件に依存します。本記事では実機による消費カロリー検証は行っていません。

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